忍者ブログ
Hello 山岸飛鳥 さん     
2024.04│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
HN:
山岸飛鳥
HP:
性別:
男性
職業:
木の家プロデュース
趣味:
きこり
自己紹介:
木の家プロデュース明月社主宰
木の力で子どもたちを守りたい
田作の歯ぎしりかもしれないけど
最新トラックバック
最新コメント
[06/01 杉並嵩]
[05/24 aone]
[05/17 杉並嵩]
[05/12 汐音]
[05/07 草]
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
ご意見はこちらから
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  木の家木の家といっても、だれでもいつでもすぐに手に入るものじゃあない。思っているほど高くはないけれども、かといってみのもんたさんご推薦の○○ホームのようなわけにはいかない。それに、これから家を建てようという人自体が少数派だ。1年以内に家を建てようなんていう人は、全体の1~2%にすぎない。その大部分は建売りか売建て住宅の購入だし、20%くらいは大手の住宅メーカーだ。だから、本物の木の家にたどり着く可能性のある人は、ものすご~く少ない。砂漠の針というか海の中のイクラというか、そのくらいの確率しかない。
 で、そのくらいの稀少な人たちがイザ木の家が欲しい、と思ったときにどうしたらいいんだろうか。「そりゃもちろん私に連絡してくれればいいんです」と宣伝もしつつ、しかし、全国の木の家ファンがどっと連絡してきたらパニックになるなあ、なんてバカな話をしていないで現実的なところを考えてみる。
 
 少数派とはいえ、まずはこの家を建てる人のことからこの章では考えてみよう。さっきも言ったように、誰に頼んだらいいんだろう というのがまず最初の悩みになるだろう。インターネットや広告で「木の家」とか「自然素材」とかをうたっている工務店は、山ほどある。玉石混淆で、どれが本物でどれがにせものか。悪い会社じゃなくても、いろんな流儀の会社があるだろう。なにより、いくらいい家でもあまり高い値段では、子どものためのいい環境を作るつもりが、ローン地獄になってしまう。本末転倒だ。などなど 悩みはつきない。
  ○○ホームみたいに、極端な低価格を売り物にしているところは別として、ほとんどの住宅メーカーとならば木の家は価格的には充分に勝負できる。私の経験範囲でいうならば、住宅メーカーよりは少し安い目にできあがる。もちろん何にこだわるかによるし、キッチンや風呂なんかの設備機器で家の値段は大きく変わってしまう。
 それと、もうひとつ大きく値段に影響するのが、工務店の体質。大手メーカー以外の工務店も千差万別。規模も違えば収益構造も違う。工務店ほど業界としての標準化がされていない業界も珍しい。そして、なによりビックリするのが、いまだに「かかっただけ請求する」という工務店があることだ。予算も見積もりもなくて、工事をやってみたら結果○○円かかりましたので下さい、という方式だ。なんでこんなことがまかり通るのかというと、ちょっと昔は大旦那の家には出入りの大工がいた。そういう大工は、頼まれた仕事をして、かかった分だけ請求した。大旦那も太っ腹にそれを払ってやった。そんな古き良き時代の名残なのである。
 しかし、今どきのお客さんにそんなことをしたら、消費生活センターに電話したりして大騒ぎになる。ヘタをしたら裁判沙汰だ。それくらい、工務店の営業している環境によって、違いがある。まったく見積もりもしないような工務店が、いきなり一般人の住宅を建てることはない。住んでる世界がちがうから。けれども、そういう体質を色濃く残した工務店が、実は木の家の世界には多いのである。見積もりはするし、かかっただけ何でも請求できるとは思っていない、さすがに。でも、見積もりはおおざっぱだし、何より「予算ありき」という考えがものすごく希薄だ。
 
 「予算ありき」が良いことだ と言いたいんじゃない。予算ありきが、結局は下請け泣かせになり、偽装請負になり、派遣切りになっているのだから、何でもカンでも安ければいいという根性は、結局まわりまわって自分のクビを絞めているということくらいは私にもわかっている。でもだからといって「予算はかかっただけ」では、大金持ちの旦那衆でもないかぎり付き合いきれない。このくらいのものならば、このくらいの予算でできるはずだ、という相場観がなくては、家を建てようという人からすればたまったモンじゃない。
 プリウスが150万なのか250万なのか発注してみなくてはわからない、では誰も買えないでしょ。ところが、家の場合はそういうことが日常茶飯事におきている。この業界のまっただ中にいると感じなくなってしまうけれども、冷静に考えたらやっぱオカシイ。
 家は一品生産だから、トータルの価格はまちまちになるのは仕方がない。が、部分ごとの値段は相場があってしかるべきだろう。同じ壁紙を貼るのでも、工務店によって1000円だったり1500円だったりする。同じ工務店でも1割2割は単価を変えたりすることは普通にある。お客さんの懐具合を見ながら加減する。シビアなお客さんには安くして、その分鷹揚なお客さんからいただくという寸法だ。これはどう考えても反則だ。いい人が損をする。
 予算の中でどれだけのことができるのかということと、職人の生活が成り立つということのギリギリのせめぎ合いを真剣に考えるのかどうか。ここに工務店の資質、体質がある。残念ながら、木の家を得意とする工務店には、どちらかというとその真摯さが希薄だ。「掛かるモノは掛かるんだから仕方ない」という頭が抜けないうえに、こっちの家で損した分をあっちの家でボッタくろうという考えもアタリマエのようにまかり通っていたりする。
 しかもそうした工務にかぎって、技術的にも問題を抱えている。木の家業界では名の通った工務店が、耐震構造に関わる釘の種類すら知らなかったというような恐ろしい現実をいくつも目にしてきた。私が監理をするより以前にあの工務店が建てた家は、そうとう高い確率で欠陥住宅にちがいないのだ。あれ以降は、ちゃんと認識してくれていると信じたいが・・・
 今から家を建てようという人は、この辺をチェックポイントにして工務店を選ぶのがいいと思う。ホームページの雰囲気や建てた家の写真からだけでは、こうしたポイントはわからない。ひとつの目安は、見積書の正確さだ。工事する面積を正確に算出しているか、それに対してマトモな単価をかけているか。それをわかりやすく見積書に記載して、ちゃんと説明ができているか。
 ところが、こうしたシステムはバッチリでも、ひどく人情に欠けるという場合もある。棚板一枚、金物一個でも追加請求になるようなケースだ。家を建てる人にとっては、やってみないとわからない部分はたくさんある。いくら図面で書いてあっても「やっぱり棚がもう一段欲しい」ということはよくある。そのすべてを追加請求されると、施主は大慌てになる。だから、見積もりの1~2%くらいは経費部分で余裕を持っておいたほうが円満に引き渡しできる。上乗せと言えば上乗せだけれども、そのくらいは必ずといっていいほど足を出すから、その辺まで見通して見積もりできるのが、経験であり人情というモノだ。
 ということで、見積書の正確さと、人情味をあわせもった工務店というのが、まず一つ目のポイントになる。
 
 よくある工務店の評価に「昔からここでやってる」というのがある。長年営業していて、ひどい評判が立っていないから良い工務店じゃないの という考えだ。これはたしかに一理ある。少なくとも、悪意のある手抜き工事とかボッタクリはやっていない会社だというのは確かだろう。ただし、歴史の古い工務店ほど「掛かっただけ請求」するようなところが多いし、今どきの技術に疎い場合もある。耐震構造なんて、大地震がこない限り間違った施工をしていてもわからない。ほとんどの家は大地震に遭遇することはないから、間違っていてもバレることはまずない。だから、悪意ではないんだけれども、知識が古すぎるとか間違っているような場合は、地元の評判ではまずわからない。
 このへんは、はっきり言って素人さんには判断不可能な領域になる。イチかバチかその工務店の社長を信じて前に進むか、専門の第3者を間に入れるしかない。それが設計事務所ということになる。つまり、私の職業。ところが、最近は設計をせずに第3者チェックだけするような会社も登場している。今のところ私は直接のおつきあいがないので、どのくらいのチェックをしているのか、どのくらい第3者を徹底しているのかわからないけれども、こういう方法もあることはある。
 いずれにしても、人柄や誠意だけでは技術的に正しい家はできない、ということは憶えていて損はない。欠陥住宅というのは、詐欺師のような会社ばかりが作ってるワケじゃない。本当にいい人たちが、知識がないばかりに「すばらしいできばえの欠陥住宅」を作ってしまっていることが とっても多い。
 
 あとは、「受け売り」ばかりの工務店は避けた方がいい。有名な○○先生の信奉者とか、○○工法に一辺倒とか、そういうのは自分で考える力がちょっと不足している証拠だ。どんな主張にも、どんな工法にも、良い点と悪い点、少なくとも、自分に合うところと合わないところがあるはず。そういう批判精神をどっかに置き忘れてきたような人は避けた方が無難だ。
 いつも私は歯がゆい思いをするのだけれど、トータリティーというのはあまりウケがよくない。逆に、何かひとつがものすごく良い という話はすごくウケる。でも、だいたい「ものすごく」の裏に、いろんな不都合や凡庸が画されている。構造はバッチリだけどシックハウスはあまり考えていないとか、断熱はものすごいけど構造は普通だとか、そういう類がほとんどだ。
 ウケ狙いでなしに家作りを考えるならば、人の生活のいろんな面を包み込む家 というトータリティーが絶対に必要。冷静に、技術者としてそういう面をしっかりと考えている会社であったり社長であったりするならば、点数高いと思う。
 
 子どものために、あるいは自分のために木の家を建てよう、という本当にラッキーな人は、その幸運を無駄にしないように、しっかりと五感を、または六感を開いて前に進んでほしい。
 
 
<a href="http://baby.blogmura.com/"><img src="http://baby.blogmura.com/img/baby88_31.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 子育てブログへ" /></a><br /><a href="http://baby.blogmura.com/">にほんブログ村</a>

 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
←No.16No.15No.14No.13No.12No.8